関節リウマチと骨粗しょう症について

関節リウマチの方は骨粗しょう症になりやすい

関節リウマチ(RA)の患者さんは、骨粗しょう症(骨の密度が低下し、骨折のリスクが高まる病気)になりやすいことが分かっています。その理由として、以下の要因が関係しています。

  • 炎症による骨の破壊

    • 関節リウマチは慢性的な炎症が続く病気で、この炎症が骨を溶かす「破骨細胞」を活性化させ、骨密度を低下させます。
  • ステロイド(グルココルチコイド)使用

    • 関節リウマチの治療に使われるステロイドは炎症を抑える効果がありますが、長期間の使用により骨の新しい形成が抑制され、骨粗しょう症のリスクを高めることがあります。
  • 運動不足による骨密度の低下

    • 関節の痛みやこわばりがあると運動の機会が減り、骨に適度な負荷がかからないため、骨密度が低下しやすくなります。
  • 中年以降の女性に多い

    • 骨粗しょう症は特に中年以降の女性に多い病気です。閉経後は骨の健康を維持する女性ホルモン(エストロゲン)が減少し、骨がもろくなりやすくなります。関節リウマチの患者さんはもともと骨が弱くなりやすいため、この影響をさらに受けやすいと考えられます。

骨粗しょう症を予防・管理する方法

1. 食事で骨を強くする

骨を丈夫にするためには、以下の栄養素を意識して摂取することが大切です。

  • カルシウム(乳製品、小魚、大豆製品 など)
  • ビタミンD(青魚、きのこ類 など)
  • ビタミンK(納豆、葉物野菜 など)

バランスの取れた食事が、骨を健康に保つ基本になります。

2. 適度な運動を取り入れる

運動は骨の代謝を活発にし、骨密度の維持に役立ちます。関節リウマチの患者さんでも、無理なくできる運動を取り入れましょう。

  • ウォーキング(骨に適度な負荷をかける)
  • ストレッチ(関節の柔軟性を保つ)
  • 軽い筋力トレーニング(骨と筋肉を強化する)

関節への負担が少なく、継続しやすい運動を選ぶことが大切です。

3. 薬による治療

関節リウマチの患者さんは、骨粗しょう症のリスクが高いため、骨を守るための薬が推奨されることがあります。

プラリア(デノスマブ)

プラリアは6か月に1回の注射で骨密度を高める薬です。骨粗しょう症治療薬として広く使用されていますが、関節リウマチの患者さんにとって特に重要なのは、「骨びらん(関節の骨が破壊されること)を抑制する効果」も期待できる点です。

ビスホスホネート製剤(内服・注射)

骨の破壊を抑える薬で、長期間の使用による骨折リスクを抑える効果があります。週1回または月1回の内服薬(ボノテオ、アクトネルなど)や、年1~2回の点滴製剤(リクラストなど)があります。

活性型ビタミンD製剤(エディロール、アルファロールなど)

ビタミンDはカルシウムの吸収を助け、骨の強度を高める役割を持っています。関節リウマチの方では、骨の代謝異常が起こりやすいため、適切な量の活性型ビタミンDを補うことが推奨されます。

4. 定期的な骨密度検査を受ける

骨粗しょう症は症状が出にくいため、定期的に骨密度を測定し、骨の状態を確認することが推奨されます。特に以下の方は、年に1回以上の検査をおすすめします。

  • 50歳以上の女性
  • ステロイドを使用している方
  • 骨折の経験がある方
  • 運動不足が続いている方

当院での骨密度検査について

当院では、順天堂大学病院の機械を用いた精度の高い骨密度検査を行っています。腰の骨や股関節の骨密度を詳しく測定することが可能です。骨の健康が気になる方は、お気軽にご相談ください。


まとめ

  • 関節リウマチの患者さんは、骨粗しょう症になりやすいため、早めの対策が重要です。
  • 食事・運動・薬物療法を組み合わせることで、骨の健康を維持できます。
  • プラリアは骨粗しょう症の治療薬であると同時に、関節リウマチの骨びらんを抑制する効果も期待できます。
  • ビスホスホネート製剤や活性型ビタミンD製剤も、骨密度の維持に有効です。
  • 定期的な骨密度検査を受け、骨の健康状態を把握することが推奨されます。
  • 当院では順天堂大学病院の機械を用いた精度の高い骨密度検査を実施しており、詳しい診断が可能です。

関節リウマチの方が健康に過ごすためには、骨を守ることも大切なケアの一環です。気になることがあれば、医師に相談しながら適切な対策を進めましょう。